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v0.28.9 — 本稿は建設中です。理論の構成、命題、実証の結論はいずれも変更されうるものです。概要

付録 C
既存理論との対応

本稿の構成要素のうち、既存の理論に対応があるものを明示する。 本稿固有の寄与は下段に限られる。

本稿は三層に分かれる。 第一層は κi の各項を説明する既存理論であり、土台として導入する。 第二層はそれらを同一の枠組みに接続する部分であり、本稿の寄与にあたる。 第三層は本稿固有の整理である。

第一層:各項を説明する既存理論

項

理論

分野
κC > 0 企業間

取引信用の四類型 [14,  15]

企業金融
κC < 0 企業間

reverse trade credit [12,  7]

企業金融
κC < 0 対消費者

前払い契約と退蔵 [6,  9,  13]

消費者行動
κL < 0

bonding argument [1]

労働経済学
公開実績の蓄積

労働市場シグナリング [16]

情報の経済学
表 C.1: 既存理論との対応、第一層:κi の各項を説明する既存理論。

これらは互いを参照しない(注3.3)。

第二層:接続としての寄与

接続

内容

κi による統合

四分野の対象が式(3.8)の同一の和に入る

τi による水準の説明

命題5.16、系5.17

Φ の類型論

第II部。契約形態の分類は既存理論が持たない

ϕ の三分解

式(6.1)。源泉別の耐久性

表 C.2: 既存理論との対応、第二層:接続としての本稿の寄与。

第三層:既存理論との個別の対応

表 C.3: 既存理論との対応、第三層(a):個別の対応関係。

本稿の内容

対応する既存理論

契約の可測性条件(第4章)

契約理論、情報性原理 [17]

リスク・インセンティブ・トレードオフの実証的困難(第15.3.5.0節)

[24, 25]

ϕ𝑐𝑜𝑔 の測定(第14.6.1節)

[6, 9]

Φ の切り替え費用と待機の価値(注2.18)

不可逆投資とリアルオプション [8]

集約が相関を生む機構(注2.11)

分散とシステミックリスク [30, 19]

時間展望による目標の変化(第8.6.4節)

社会情動的選択性理論 [3]

成果連動の最適強度(例4.5)

線形契約とマルチタスク [18]

式(5.6) の g⋆

自己金融可能成長率 [4]。配当性向と負債比率を固定する Higgins 系の持続可能成長率とは別系統

式(3.9)(M = E − W − A)

財務分析の標準的な恒等式。現金 = 自己資本 − 正味営業資産

命題5.2、系5.3(規模の上限)

過大取引(overtrading)の形式化。運転資本が純資産で抑えられる構造は [33] と同型

命題6.6(認知余剰の現金中立性)

収益認識における契約負債からの振替。会計上の標準的な扱い

命題5.21(尖頭と平均の差)

実務でいう資金需要のピーク。運転資本管理の標準的な論点

系5.19(CCC の非加法性)

比の集計一般の性質。式(16.5)のシフト・シェア分解はその差分形

合流点条件づけ(命題A.1)

Berkson のパラドックス [2]、因果推論の枠組み [23]、選択バイアスの因果図表現 [11]

式(12.2) の識別不能性

Age–Period–Cohort 問題 [22]

式(2.11)

分散のプーリング。保険数理の標準的結果

割引因子の異質性(命題4.10)

時間選好、双曲割引 [21]

自動化とリスク・不確実性の区別(第9章)

[20]

組織が可測性を吸収すること(第8.7節)

企業の境界 [5]、所有権理論 [10]

支払者と受益者の分離(族7)

両面市場 [26]

命題A.15(資本と信用の代替)

担保制約と純資産 [33, 36, 37]

信用のブートストラップ問題(第8.5節)

同上。純資産の低い主体ほど制約が強いという結果に対応

手続きによる契約空間の拡大(第10章の前提(1)(2))

分散合意と契約可能性 [31]

識別子と主体の乖離(第10.3節)

Sybil 攻撃 [32]

系10.11(資産を持たない主体の排除)

担保要求と金融包摂の限界 [34]

注10.4(区分「外」における仲介)

外部状態の取り込みとその検証可能性 [35]

命題10.6(受益者の同定)

識別子の自由な生成と false-name-proofness [38]

接続すべきだが接続していない理論

対応する既存理論

δ¯ と δ の同時決定(第19.4.1節)

メカニズムデザイン、自己選択と数量割引

契約の選別効果(同上)

契約理論のうち逆選択を扱う部分

DSO と DPO の同時決定(同上)

取引信用(trade credit)の理論

規模と紹介の質の関係(第15.3.5.0節)

労働市場の仲介と適合の質

表 C.4: 既存理論との対応、第三層(b):接続すべきだが接続していない理論。

本稿固有の整理

対応

三重添字と三操作の対応(第2.6節)

本稿の整理

Φ による定義(第2章)

本稿の整理

余剰の三分解(式(6.1))

本稿の整理

レイヤー構造(第6.3節)

本稿の整理

Φ の類型カタログ(第II部)

本稿の整理

検証障害の六分類(第13.2節)

本稿の整理

表 C.5: 既存理論との対応、第三層(c):本稿固有の整理。